”「ビタミンDのサプリでの補給はアルツハイマー病の発症と進行を悪化させる」という最新の台湾の研究。動物実験では知能も退化”
台湾の研究機関「国家衛生研究院」が、高齢化や認知症に関しての医学誌であるエイジング・セル (Aging Cell)に最近、論文を発表しました。
その内容は、以下の論文のタイトルにありますように、
「ビタミンD3の継続的な補給は、認知症を発症させる可能性が高まる」
というものでした。
(論文) ビタミンD補給はアルツハイマー病の進行を悪化させる : 動物モデルとヒトコホート研究
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/acel.13670
この台湾の研究について報じていたフォーカス台湾の記事をご紹介します。
【高齢者のビタミンD3長期服用、認知症発症のリスク増加の恐れ=台湾の研究機関】
フォーカス台湾 2022/09/06
台湾の研究機関、国家衛生研究院は、高齢者がビタミンD3を長期的に補充することで、認知症発症のリスクが増加する恐れがあるとの研究結果を発表した。
同院は 8月29日に記者会見を開き、ビタミンDを乱用しないよう呼び掛けた。
ビタミンDは神経系において重要な役割を果たすことが分かっている。
研究に参加した同院分子・ゲノム医学研究所の荘志立研究員によれば、過去の研究でビタミンDの欠乏と認知症発症のリスクに関係があることが明らかになっており、因果関係ははっきりしていないものの、ビタミンDの補充によって認知症のリスクを下げようとする人も多くいるという。
今回の研究では、国民健康保険のデータベースを分析した。
認知症でない 65歳以上の高齢者 1万4648人を 2000年から 11年間追跡調査し、活性型ビタミンD3製剤のカルシトリオールの継続的な使用が認知症リスクに与える影響を調査した。
研究結果では、カルシトリオール 0.25マイクログラムを年間 146錠以上服用した人は、認知症を発症するリスクが非服用者の1.8倍だったことが分かった。
また、カルシトリオールを年間 146錠以上処方された認知症患者は、処方されなかった患者と比較して死亡リスクが2.17倍になることも分かったという。
アルツハイマー病モデルマウスを使った実験では、モデルマウスにビタミンDを投与すると大脳の病変を悪化させ、知能が退化することが明らかになったとしている。
荘研究員は、この研究結果はビタミンDの働きを完全に覆すものではないと強調。高齢者や認知症患者に対し、注意を促すものだとした。
これらの研究成果は、学術誌「Aging Cell」で発表されている。
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